小だたらのしくみ

この図は、たたら製鐵のしくみを簡単に説明したものです。
( 鉄の歴史村の説明パネルより転写  細部修正・柳楽重雄 )

たたら炉内で約1,500℃に加熱された炭:炭素(C)は、送風羽口から
送りこまれた酸素(O2)と結びつき、一酸化炭素(CO)を発生します。

炉内を上昇する一酸化炭素(CO)は投入された砂鉄:酸化第一鉄(FeO)と出合い、
砂鉄に結びついている酸素(O)を奪って二酸化炭素(CO2)となって炉外へ抜け出します。

そして砂鉄は純粋な鉄(Fe)となって炉内を降下し始め、途中、一部は炭素(C)と
結びつき、やがて炉の底にたまったノロの中へと沈んでいきます。



上はノロの中の鉄の顕微鏡写真です。(尾上卓生氏提供)

ノロの中では還元された鉄の一粒一粒が浮遊しながら互いにくっつき合い、
不純物を排出しつつ段々と大きな塊に成長していきます。
この様子は、あたかも動物の胎児の成長にたとえられる事があります。

そして最後に煙突を取り外し、炉を解体して中から出来た塊を取り出します。
この、小だたらより産み出されるものが、(けら)です。
ちゃんと出来た物は大ハンマーで叩いてもなかなか割れません。
ケラはそのままでは道具として使うことが出来ないので、
この後鍛錬してしっかりした鋼へと育てていきます。


POINT

たたら製鐵で大切なのは、湿気を遮断することと火の色を読むことです。

まず湿気の遮断ですが、発掘されるたたら遺跡等を見ても、地上の炉の
何十倍もの地下構造を備えている
点から、いかに重要な要素であるかが分かります。
この点の準備を怠ると鉄が出来ないばかりか、有珠山の噴火にもあったような
水蒸気爆発
引き起こす恐れがあるので気を付けなければなりません。
もちろん炉の解体の際にも水分には充分な注意が必要です。


つぎに火の色を読むことですが、たたらは炉の内部を還元状態に保たないと
砂鉄(酸化鉄)に結びついている酸素を分離できません
。還元状態かどうかは
炉の上部の炎の色を見て判断します。炎が透き通っていて、紙や藁を入れても
燃え上がらずに黒く炭化するだけなら還元炎。
逆に黄色やオレンジの明るい色で、
中に入れた紙等が燃えたり灰になるようであれば酸化炎と言った具合です。

当たたらの炉の大きさでは羽口は1本で充分です。高殿の大きな炉を真似て同じような炉で
4本以上の羽口で送風したとしたら、鐵が燃えて操業は失敗となってしまいます。



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